このところできていなかった読書を再開。この一年で温めていた積読本棚から選んだ一冊です。
とても優しい本との出会いでした。
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あなたの言葉を/辻村深月
作家・辻村深月さんが毎日小学生新聞に連載していた記事を集めたエッセイ集です。
これもどこか旅先で訪れた書店で出会い、
帯買いした本だったと思います。
いつだったか、どこだったか。忘れてしまいました。
忙しない一年だったのだなと思い返しています。
冒頭の「はじめに」のところから、
一つひとつ並ぶ優しい言葉選びに
心が潤い、感情が静かに穏やかになりました。
本文より引用
-自分がどうしてうまくできなかったのか、
何をおかしいと思っていたのか、
周りの友達や大人にどうしてほしかったのか。
わかるようになったのは、大人になってからでした。
その時に感じていた感情を何度も何度も心の中で整理するうちに、それらを表現する「私の言葉」を見つけていくことができました。〜
〜そしてその言葉は今、大人の私を支えてくれる頼もしい武器になりました。
-なるべく言葉に頼らず、わかりやすい表現をしようと思うと、かえって、たくさんの言葉を実感として自分が理解していることが必要になってきます。〜
〜国語力は、学校の勉強の範囲を超えて、あなたを一生支えてくれる力なのではないか、と。
-その子と過ごした日々は私の中で少しも色あせていません。たとえ今、隣にいなくても、出会いと別れ、時間の積み重ねが今の私を作りました。〜
〜つながれても、つながれなくても、あなたの時間があなたの人生を作っていく。
-大人になった今、私は小学生の自分がその先でどんな運命をたどるのか、もう知っています。失敗しないための「正解」だって今ならわかる。でも、それをあらかじめ知っていたら、きっとつまらなかったろうなぁ、と思います。
この先の未来がどうなるかわからない不安や焦りの中で、その時々の自分が揺れながら決断したからたどり着けたこと、意味があったことがきっとたくさんありました。
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ページを1枚1枚めくるたびに
小学生から今までに出会った、言葉を交わした
たくさんの人たちのことを順々に思い出しました。
小学生から今までに出会った、自分を支えてくれた
数々の言葉のことも。
本文の中で、言葉は頼もしい武器と表していました。
私にとっては言葉は同時に防具でもありました。
幼虫から蛹になり成虫として羽ばたいていくまでの、
不安定な”今”を守る繭のような存在です。
この本を読み進めた数日間。
幸せな時間でした。
