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すみだ食育フェスにて”乳幼児期の食べる機能”について講演しました

先日、すみだ食育フェス2024にて”乳幼児の食べる機能”について講演させていただきました。

哺乳期〜幼児食期までのそれぞれのステージでの食べる機能の獲得目標や、安全な食べ方や食材についてなどの話をしました。

2部制で、
食べる機能の話の次には
消防署の方々がもしものときの対応の実演を行なってくださいました。


(私の講演内容より一部抜粋)
離乳期以降の食べる機能、
特に咀嚼の発達は、
歯・口の発育と密接に関連しています。

むし歯やその他の歯や口のトラブルは、
「よく噛んで味わって食べる」ことに支障をきたしたり、また偏食の原因にもなります。
むし歯予防をはじめとした歯と口の健康を守るアプローチは、食べる機能が健全に発達するために不可欠なものです。

さらに、よく噛む習慣を身につけることは、
唾液の分泌を促して、食物をおいしく味わうために必要であるとともに、
固形食を飲み込みやすくして窒息事故などを防ぐためにも大切なものです。

口を育てるということは、
呼吸や嚥下、口腔機能の正常な発達を促し、
歯並びや容姿を正し自信の持てる笑顔を作ります。
それは、本来持ってる学習運動能力の正常な発達をも促します。
生涯食べる能力を維持し、
介護を必要とせず自立を促し、
終生自分の人生に誇りを持てるようにしていくことです。

多くの重要な役割を担う口の機能の中でも
“食べること”
を知り、理解し、
育んでいくことは
心と身体の健康を維持し
生き生きと
人の生の「始まり」から「終わり」まで、
人間らしい生活を営むために
活かしていくことができます。

こどもは食べ方を身につけていく過程で、
様々なことができるようになっていきます。

五感を通して味わいを知り、
噛むことによってそれが増すことを覚えます。

空腹と満腹の感覚認知と、
適切な対処ができるようになります。
食べることの調整ができるようになります。

食べ方の広がりの意味を理解できるようになります。

成長に伴い、
食事の場から心身に受ける影響は
どんどんと大きなものになっていきます。

食べることを通して、

自律を学び
感情や行動を制御し
バランスの取り方を知ります。

対人関係の中で食を共有し
共感を覚えます。

心が満ち足りることを感じ
愛情と感謝を学びます。
その感情を表現する大切さを知ります。

私たち大人も生涯持ち続けたい大切な気づきを、食育を通して幼いときから育てていけたらと思っています。

このお話が皆さまにとって安全に安心に、喜びとともに”食べる”を考える、
小さなきっかけとなりましたら幸いです。

口腔機能は乳幼児期に発達し
成人期で維持され
老年期に再び低下していきます。

誰もが来た道であり
今であり
これから行く道であるということ。

このすみだの町が、
食べるということを通して
周囲の人たちを思い合える、
優しくあたたかいまちであり続けることを願うとともに、
食べるということに悩みや迷いが生じたときに
身近に相談するところとして
私たち歯科医師がいて、歯科医院があるということを
覚えておいていただけましたら嬉しく思います。