以前から取り組んでいたADL向上のための化粧整容療法の学び。
講座を修了し、試験に通りました。

ADLとはactivity of daily living
日常生活動作のことで、
化粧行為はその中の整容に位置付けられ
身だしなみを整えることにあたります。
整容には口腔ケア、手洗い、爪の手入れ、洗顔、洗髪、髭剃り、化粧などが含まれます。
化粧整容により
心理的精神的な変化と
動作の継続による身体機能の維持・向上が期待できます。
身だしなみを意識することで、
自分と他人に興味・関心をもち、
社会性・社交性の維持にもつながります。
口腔ケアには機能的口腔ケアと器質的口腔ケアがあります。
機能的口腔ケアは口腔機能(笑う・話す・食べる・表情を作る・呼吸する)を維持・増進させることが目的で、
器質的口腔ケアは口腔清掃、口腔衛生、うがい、歯みがき、義歯の清掃、粘膜および舌の清掃が目的です。
化粧・整容に加え身体的ケアも含めた整容動作を、
自立支援のもとに残存機能をいかしながら、
“本人による動作”をサポートすることで、
心身機能の向上やQOLの維持・向上を目指します。
化粧をする動作によって
三角筋、上腕二頭筋を、
容器を扱う動作によって
総指伸筋、浅指屈筋、第一背側骨間筋を使うため、
手と腕の筋力維持につながります。
容器を開け、化粧水などの液体をを出し、顔に塗布する
という一連の動作そのものがトレーニングになります。
化粧による動作は食事動作の2、3倍の筋肉を使うということがわかっています。
化粧動作ができるようになると、
食事の自立度が上がるという結果もでています。
オーラルフレイルの前段階として、
口腔リテラシーの低下が挙げられています。
オーラルフレイルと口腔機能低下症への進行を予防するためにも自身の口元へ関心をもち、意識を保つことが重要となります。
QOL(生活の質)とは、
「日常生活や社会生活のあり方を自らの意思で決定し、生活目標や生活様式を選択できることであり、本人が身体的、精神的、社会的、文化的に満足できる豊かな生活」と定義されています。
歯科診療における口腔ケアは口腔内の診療の一環ですが、
オーラルフレイルを予防しQOLを保つための
“口腔外ケア”としてのアプローチを
化粧整容療法を通してお伝えしていきたいと思っています。
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学習の中で一番印象的だったのは、
大勢の前で自ら全てのメイクを落とし
鏡を見ずに眉を描き、口紅を塗る実習でした。
初めは、
ここで皆の前で全部落とすのか、、と戸惑いました。
しかし講師の先生が、
躊躇なく朗らかに、
ご自身のメイクを落としている様子をみて
気持ちが和らぎました。
人の目を気にせず楽しんでいただくためには、
自らがまず、余計な感情を持たず余裕をもつことが大切だと理解できました。
さらに、鏡を見ずにデモンストレーションをすることで
高齢者から目が逸れることなく安全を確認する意味があることを知ったとともに、
人前で鏡を見ずに化粧をするときの不安や戸惑いを体感してみることで
認知機能や身体機能が下がってきている方々が
化粧行為に挑戦するときの不安や戸惑いを
疑似体験する意味もあることを教わりました。
大丈夫、大丈夫。
の声かけの心強さを
身をもって知ることができました。