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義歯という選択肢

何かの理由によりご自身の体の一部を失ってしまったとき、その部分の機能や形態を回復するためにそれぞれに適したかたちでのフォローを必要とします。義歯の”義”には、”実物のかわりになるもの”という意味があり、目であれば義眼、歯であれば義歯と、実物の代わりとなる人工臓器でそれぞれの失った組織を補っていきます。

身体の一部である歯を失ったとき、その部分にそれまでと同じような役割を果たしてくれるようなものを着けていくわけですが、どの方法もあくまで “代わりとなる人工物” ですから、それぞれ長所と短所をもちあわせています。

それぞれの特徴を、説明を受けたり調べたりしていくと、知れば知るほどなかなかすぐには決められないような情報量になることも少なくありません。

治療法を選んでいくときに、先入観や外圧で選んでしまうのは少しもったいないように感じることがあります。義歯というのは固定観念をもたれやすい方法であることを診療のなかで実感するからです。

老若男女問わず、欠損歯があり治療方法の選択に悩んでいらっしゃる患者さまには、「考える時間を確保」するために一時的に義歯を装着する。という方法もあることをお話しています。

義歯は大がかりな手術や他の歯への大きな処置をせずとも失った部分を補完していくことができます。

着脱が容易で口腔清掃をシンプルにできるため、周囲の歯の虫歯予防や歯周病の改善や予防にも有利になります。

ゆくゆく決定した治療方法にスムーズに移行するための準備とすることもできます。

失った部分をそのまま放っておいてしまうと、その周囲の残っているご自身の歯が動いてきたり、残っている個所が弱ってきたりすることが多く、そうなったところから治療を再開しようとすると複雑な治療工程を必要とする可能性もでてきてしまうのです。

1本だけ歯の欠損がある場合やとびとびで欠損歯のある場合でも、義歯は使用することができます。その素材や質感も、金属のパーツを使用せず人工歯と歯肉色のパーツのみで作られたものや、歯肉への当たりがやわらかい弾性のある素材のものなどがあり、選択肢をご説明していきながら各々の患者さまの現況とご希望に合うように設計していきます。

失った部分を補って上下の歯列がそろってかみあう状態に戻しておくことは、他の歯の喪失予防につながっていきます。

もし、なかなか治療法が決まらず歯を失った部分をそのままにしている方がいらっしゃいましたら、どうぞご相談くださいね。