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授乳と歯ならび

よい歯並びをつくるために意識したい生活習慣として、食生活、呼吸の仕方、姿勢などのさまざまなものがあります。

今回は、生まれたばかりの赤ちゃんがまず経験する授乳とその姿勢について、おはなししていこうと思います。

授乳のときの姿勢は、赤ちゃんの口の筋肉や顎の発達に大きく関係し、歯並びにも影響してくると考えられています。正しい授乳姿勢を意識し、舌や顎などの口周りの筋肉がきちんと発達するように促すことが大切になってきます。

まず授乳時の赤ちゃんの抱き方ですが、舌が床と平行になるような角度(60度くらい)が適切であると考えられています。(歯科的に推奨ということであり、他の姿勢がいけないというわけではありません。)

授乳クッションの上に赤ちゃんを水平に寝かせて覆いかぶさるように授乳をしてしまうと、
赤ちゃんは舌や口周りの筋肉が疲れ、1回の授乳量が少なくなります。すると眠りが浅くなりずっと乳を欲しがるようになってしまいがちです。

適切な体の角度で授乳を行うと、赤ちゃんも疲れにくくなり1回に飲む量が増え、授乳間隔もあいてくるようになります。

また、赤ちゃんにまっすぐ深くくわえて吸わせることで、母乳の分泌を促す効果を期待できます。赤ちゃんにとっても、舌や口周りの筋肉をしっかり使うため、顎の発達を促し口唇閉鎖や鼻呼吸も確立していきます。口で呼吸するようになってしまうとゆくゆく虫歯になりやすく、舌が下方に下がるため歯並びにも影響を及ぼします。哺乳の時期から口呼吸を予防するようにできたら理想的です。

横になりながら授乳すること(添い乳)は、
赤ちゃんの歯や歯ならびにとってはあまり良くない影響が出てしまうこともあります。顔の左右に偏りが出たり、左右の歯並びのバランスが崩れてしまうことがあります。また、片側だけにむし歯が多発してしまうこともあります。
このように、口の機能や形態に影響が出る可能性があるため、歯科的にはあまり推奨されるものではないという意見もあります。実際には、添い乳がどうしても必要というママと赤ちゃんもいらっしゃるでしょうし、絶対やめなければいけないというわけではありません。こういう影響が出る可能性もあることを知っておいていただけるだけでも、そのような様子が見られたときに早めの対応ができるのではないかなと思います。

育児はなかなか教科書通り、理想通りにはいかないものだということを、日々実感します。困ったときや迷ったときに、ほんの少しでも参考にしていただけるような情報をお伝えしていきたいと思っています。

授乳と哺乳について、何回かに分けておはなししていこうと思っています。